Windows VistaはJIS X 0213:2004に対応しないらしい2006年05月23日 23:30

文字の海、ビットの舟」などの報道によると、Windows VistaはJIS X 0213に対応したフォントを搭載するものの、JIS X 0213の符号化方式にはまだ対応していないようです。これでは、JIS X 0213:2004に対応とは言えませんね。

そもそもJIS X 0213のような符号化文字集合規格というものは、文字の集合を定めてその各文字に対応するコード値を定義する規格であるわけです。例えば、JIS X 0213では「亜」という漢字に対して「x0110000 x0100001」というビット組合せ (MSBは呼出し先がGLなら0、GRなら1) を定義しています。こうした符号化表現を用いないのであれば、符号化文字集合を採用したとは言い難い。

同様の理由で、「WindowsはJIS X 0212補助漢字に対応している」という命題も偽となります。実態は、JIS X 0221の実装において、JIS X 0212相当の文字のレパートリーに対応している、といったところでしょう。

符号化文字集合規格は、(符号化と無縁な) ただの文字集合の規格ではないし、ましてや漢字の字体の規格ではない。そこのところの区別をはっきりさせることが大事ではないかと思います。

ちなみに私が普段使っているEmacs (+Mule-UCS) は、JIS X 0213の本体で定義されている「国際基準版・漢字用8ビット符号」の符号化表現に対応する、正しいJIS X 0213の実装です (2004年改正の追加10文字には対応していませんが…)。

コメント

_ 成瀬 ― 2006年05月25日 18:48

こんにちは。少々疑問に思ったのですが、この記事はいわゆるJISの生コード、GNU iconvでいうJIS_X0201-1976, JIS_X0208-1983, JIS_X0212-1990等に対応せよ、という意味ではないですよね?Shift_JIS-2004, ISO-2022-JP-2004, EUC-JIS-2004に対応せよとの意味だと解釈します。その上で、これらの符号化表現に対応しなければ JIS X 0213:2004に対応したとはいえないという根拠は何でしょうか。これらの符号化表現は0213において「参考」扱いだと記憶しております。

_ やの ― 2006年05月31日 23:24

附属書に記載の符号化方式でも良いですし、規格本体に定義されている
符号化方式でも良いです (規格の7章をご参照下さい)。あるいは、
ISO/IEC 2022の元での符号化でも構いません。これらのいずれか、
つまり、JIS X 0213で定義されている符号化方式に対応していれば、
JIS X 0213に対応といえます。その根拠はといえば、符号化文字集合
規格とは、エントリ本文に書きましたように、文字集合の各文字に対する
符号化表現を定める規格だからです。

なお、附属書の符号化方式は今のところ「参考」とされておりますが、
この措置に実際的な意味は殆どなく、混乱の元なので、次回改訂で
「規定」に直すべきと考えます。

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