「約900文字」の謎 ― 2006年05月16日 20:48
- Vista新フォントは「現代日本語に必要な漢字を網羅」 (ITmedia)
- マイクロソフト,新文字セット「JIS2004」への移行措置を明らかに (IT Pro)
どちらの記事にも、漢字を「約900文字」追加と書いてあるのですが、この数字はいったい何なのでしょうか? JIS X 0213で追加された文字数よりも明らかに少ない。Windows VistaではJIS X 0213の文字全部は使えないのでしょうか?
Shift_JIS-2004に対応すれば、使える文字種もはっきりするし(計11,233文字)、機種依存文字の問題も解決できるのに、ずいぶん煮えきらないことをするものだなあと思いました。
「約900文字」には何か深い意味があるのでしょうか?
「アイヌ文字」? ― 2006年05月16日 21:00
Windows VistaのフォントについてのIT Proの記事を読んで、引っ掛かった表現がありました。
MS Fontバージョン3では,約900文字の漢字や約200文字の非漢字(英語の発音表記などに用いられる音声記号やアイヌ文字など)が表示可能になる。
(強調引用者)
この「アイヌ文字」という表現です。
この記事で言いたいのは、JIS X 0213に収録された、アイヌ語表記に使われる片仮名のことなのでしょうが、それを「アイヌ文字」と呼ぶとちょっと違和感を覚えます。
アイヌ文化は元々文字を持ちません。だから「アイヌ文字」と呼べるような固有の文字体系はありません。記録するための便宜として、アイヌ語を書き留めるのに片仮名が使われるわけですが (ラテン文字で書くこともあります)、日本語と異なるアイヌ語を書き表すのに普通の片仮名ではうまく書けない音があります。そこで、片仮名を小書きにしたり、半濁点をつけたりといった工夫がされてきたわけです。
そういうのはあくまでも「アイヌ語を書くために工夫した片仮名」であって、「アイヌ文字」とは呼びにくいのではないかと思います。私はアイヌ語の専門家ではありませんが、アイヌ語のテキストや一般向けの書籍でも、片仮名を指して「アイヌ文字」とはいわないようです。
ちなみにGoogleで「アイヌ文字」を検索すると、神代文字の類いとしてこの言葉が使われているのがでてきます。これが何なのかは私は知りません。
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